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患者にとっての臨床試験とは? 

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臨床試験とは

こんにちは、キャンサーベネフィッツの清水です。
今回は臨床試験を患者会の活動をとおして感じた、患者の視点で書いてみたいと思います。

臨床試験について、以前のブログにおいて共同代表理事の山口はこのように述べています。

臨床試験とは、条件に合致する患者あるいは健常人に対して、最適な治療法を明らかにすべく企図された計画的実験です。そのなかでも、医薬品や医療機器の候補となる物質や機器の有効性と安全性を確認し、国から法律上の承認を得るための臨床試験を治験といいます。

まず、動物で医薬品の候補となる物質の安全性について詳しく調べます。その後、患者さんに臨床試験に参加してもらい、承認前の候補物質の有効性や安全性を調べたり、既に承認済みの医薬品について新たな適応症や用法・用量の有効性や安全性を調べます。その後、有効性や安全性が国に認められると一般的に使用される医薬品となります。おおよそ5〜10年といった長い時間をかけて治験は行われます。現在使用できる医薬品や治療法は、多くの方の臨床試験への協力で成り立っており、治療法が進歩するためには不可欠なものです。

大前提として、臨床試験は将来において、同様の患者さんのためになるものであり、その臨床試験に参加している被験者には効果が認められないなどメリットはないかもしれません。そのため、臨床試験に参加したからといって必ず有効な治療ができるわけではありません。

実際の患者会においての臨床試験

ただ、私も参加している肺がん患者の会ワンステップに参加される患者仲間の話を聞くと、臨床試験を生きるための選択肢の一つとして考えている方も多くいます。そこで欠かせないのが「ゲノム医療」です。

肺がんの「ゲノム医療」についてはオンコロの記事「肺がん診療におけるゲノム医療の新たな展開〜遺伝子パネル検査の正しい理解を〜」において、詳しい説明が書かれているので参照してください。

「ゲノム医療」の進歩とともに、いままではなかった薬がたくさん開発されており、遺伝子解析により自分の遺伝子変異に合致する臨床試験がおこなわれていた場合、その臨床試験に参加することも選択肢と考える患者もいます。

臨床試験の話題は肺がん患者の会ワンステップにおいては多くの患者の「いま現在、どのような臨床試験がおこなわれているか」、そして、「その臨床試験に参加するにはどうしたらいいか」という声を聞くことも多く、実際に臨床試験に関するセミナーをおこなうと、たくさんの方が参加されます。

患者にとっての臨床試験とは

現実のところ臨床試験は新薬開発という目的があり、参加条件が細かく規定されており、多くの患者が参加できるわけではなく、保険承認されている治療法と違い、安全性と有効性が担保されているわけではありません。そのため臨床試験に参加することが、必ず有益であるというわけではありません。

しかし、たくさんの薬剤が開発されている現状を考えると、臨床試験は有効な治療になるかもしれない薬剤や治療法を、いち早く使える可能性があるということは、患者にとっては一つの希望です。

それに薬が承認され多くの方に使用できる未来は、同じ病気で苦しんでいる仲間にとっての希望になるものなので、有効性の高い薬が今後も開発され、臨床試験を経て、多くの人のもとへ届く未来を信じています。

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