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臨床試験のお話 RCT、比較対照について(続き)

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共同代表理事の山口です。

前回のブログで、臨床試験の基本は
比較
です、という話をしました。

何かの効果を調べる場合には、比較が基本であり、
評価したい治療や介入以外は等質(比較可能)な
比較対照(コントロール)を同じように追跡する必要があります。

前回は、風邪薬ルルルの効果があるかどうか、
ルルルを飲まない
との比較を考えました。
最後に、試験の目的によっては
別の風邪薬
偽薬(プラセボ)
を飲んでもらうなども考えられます。
そのあたりは、次回のブログで改めます。
で終わりました。

今回はその続きです。

さて、ルルルが効果があると考えた場合、
・ルルルが全体として効くのか?
・お薬に含まれている有効成分「演歌リゾチーム」が効くのか?
いずれかを考えることができます。

前者の場合、
「ルルルを飲むこと自体」の効果
かぜ薬を飲むという心理的な効果も含まれる
があるかどうかを調べることになります。
よって、
コントロール(比較対照)は
ルルルを飲まない
になります。

一方、後者の場合、
心理的効果は無関係
ですから、
コントロールは「演歌リゾチーム」を摂らない
になります。

違いはわかりますでしょうか?
よく考えてみてください。

ぜひ、
違いが​わかる男の、ゴールドブレンド
ダバダ~♪
になっていただきたいです。
(このネタを授業で言っても、
最近の学生からはまったくレスポンスありません(T_T)
当然でしょうが、、、)
また、他の風邪薬と比較してどうか調べたい場合については、
今回は特に触れてはいませんが、同様に考えてみてくださいな。

さて、後者の、不活性な物質だけで作った試験物質もどき
(試験物質から作用を期待している成分を除いたもの)を
みなさまよくご存じのプラセボ(偽薬)と言っています。
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/021024html/index.html

また、
自分が飲んでいるのはルルル?
自分が飲んでいるのはプラセボ?
なーんて感じでしょうが、
どちらの薬を飲んでいるかがわかると心理的な効果が入りますので、
これをプラセボ効果って読んでいます。
プラセボ効果を取り除くためには、
臨床試験の参加者に、プラセボを飲んでいることを知らせないようにします。
これを
マスク化 Masking
目かくし化
(盲検化 Blind この日本語の言い方はなるべく避けましょう)
なんて言います。
臨床試験の被験者が何を飲んでいるのか、
被験者自身だけではなく、担当医も知らない場合に、
二重マスク化
(二重盲検 Double blind この日本語の言い方はなるべく避けましょう、でも今でもよく使われています、、、)
と言いまして、
この場合、担当医の評価にバイアスが入らず、妥当な評価が行えます。

比較対照の重要性、
みなさま、いかがでしたでしょうか?
次回は、最後に、
ランダム化って「くじ引き」って言われるけど、
ほんとなの?
そんな誤解について、考えたいと思います。

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