共同代表理事の柳澤です。
今日のブログも先日紹介した「#RCT 大全」から。RCTとはRamdomized Controlled Trial(#ランダム化比較試験)の略。この書籍は、医療の介入(検診、手術、薬物療法など)の比較試験の結果がいくつも紹介されています。
その中には、世間一般では、当然、意味があるだろうという医療の介入(検診、手術、薬物療法など)のRCTの結果や、複数のRCTをまとめたシステマティック・レビューについて紹介されています。その中で評価が難しい領域として #がん検診(#乳がん検診 #マンモグラフィー)が紹介されています。
「10年間に乳がん検診を受ける女性2,000人のうち、乳がんによる死亡を回避できるのは1人。その一方で、健康な女性10人が検診を受けなければ診断されなかった女性が乳がんと過剰診断され過剰治療となる。更に200人の女性が偽陽性の所見により数年にわたり不安や疑念など重大な心理的苦痛を体験する」とされています。
これは、「検診受けましょう!」って聞いてきた人にとっては、ちょっとびっくりな結果ですが、これがRCT、システマティク・レビューの結果です。
以下が、コクラン(Screening for breast cancer with mammography)のページです。
it means that for every 2000 women invited for screening throughout 10 years, one will avoid dying of breast cancer and 10 healthy women, who would not have been diagnosed if there had not been screening, will be treated unnecessarily. Furthermore, more than 200 women will experience important psychological distress including anxiety and uncertainty for years because of false positive findings.
対して、日本ではどうでしょうか?国立がんセンター 社会と健康研究センターの乳がんの各種検診のページです。
「マンモグラフィ単独法(40~74歳):推奨グレードB」
40~74歳を対象として、死亡率減少効果を示す相応な証拠があります。不利益については偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がんの発症の可能性があります。これらの結果から、推奨グレードBとし、対策型検診・任意型検診の実施を勧めます。」
推奨グレードBとは「利益(死亡率減少効果)が不利益を上回るがその差は推奨Aに比し小さいことから、対策型検診・任意型検診の実施を勧める」てことで、一般的に認識されているようなものではなく、海外と同様に不利益についても十分に知っておくことも重要です。