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WHO 抗がん剤 使用禁止?

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共同代表理事の柳澤です。

今もネットに残る #WHO #抗がん剤 #使用禁止 という情報。これらのキーワードで検索するとヒットするのが「WHOが抗ガン剤の全面使用禁止を決議(2014年5月),加盟各国に勧告。日本政府はこれを封印。なぜ?」

http://inamasa.blogspot.jp/2015/04/who20145.html

いや、なぜ?そんな根も葉もないことを言う?と思ってしまいます。この記事内には、もちろんWHOがそういう決議をしてという情報のリンクもありません。さすがにこれみて「そうなんだ」という人は、多くはないでしょうが、昨年、米国の医師・がん研究者(大須賀覚先生)も丁寧に、「WHOは抗がん剤を禁止している?抗がん剤は米国で使われていない?あなたの周りに広がる噂を検証」といった丁寧な記事をあげておられます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/osukasatoru/20200918-00198132/

さて、このブログのアイキャッチ画像にある図は、九州がんセンターの瀬戸貴司先生にお借りしたものです。これは、何かというと肺がん領域における抗がん剤の登場を時系列に表したものです。よく、抗がん剤とひとくくりにされますが、肺がんに使用される抗がん剤だけでも何種類もあり、これを他のがん種でも表示すると大変なことになります。

植物由来のビンカアルカロイド系の薬剤、タキサン系薬剤、その他の植物由来の薬剤、プラチナ製剤、代謝拮抗剤、各種分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害剤などなど。そして、それらの開発には、それぞれドラマがあります。例えば、今でもいくつかの固形腫瘍のキードラッグであるシスプラチン。そもそも、抗がん剤の研究をしていたわけではありませんでした。

<シスプラチンの発見>
シスプラチンはもともと錯体研究として合成されたものであり、抗がん作用は偶然に発見されたものです。
1965年、B.Rosenbergは電場が細菌に与える影響について研究していました。そのとき、プラチナ電極の分解産物が大腸菌の増殖を抑制していることに気がつきました。
大腸菌は糸状に伸びていくだけであり、これはプラチナの分解産物が大腸菌のDNA合成を阻害しているためでした。
そこで、このプラチナ分解産物による大腸菌の細胞分裂を阻害する作用に着目しました。細胞分裂の比較的早いがん細胞にも、増殖を抑えるように応用できるのではないかと考えたのです。
動物細胞に使用したところ、シスプラチンは強い抗がん作用を示すことが明らかとなり、臨床試験が行われる段階まで進みました。
しかし、副作用として腎臓に対する毒性が強かったため、シスプラチンの臨床開発はストップしてしまいます。

出展:https://kusuri-jouhou.com/yakubutu/cisplatin.html

そして、シスプラチンなど固形腫瘍に抗がん剤が使用されるようになってから、およそ50年が経つわけです。実は、こういった抗がん剤の歴史を知る機会はあまりなく、私も関与するがん情報サイト「オンコロ」の開設6周年記念・オンコロブック発売記念ウェブセミナーで、以下の講演を中川先生にお願いしました。とても興味深い話が聞けると思います。キャンサー・ベネフィッツからは、清水公一さんも出演されるので、是非、ご視聴下さい。

「日本のがん治療50年の歴史」
中川 和彦 先生(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授)

2021年4月18日(日)午後3時(15時)~配信
https://oncolo.jp/event/oncolobook2021

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