共同代表理事の山口です。
先週の土曜日に、
医療従事者及び医療を学ぶ学生のためのがん医療セミナー2020
http://www.m2cc.co.jp/1219osaka/
というイベントが開催されました。
告知の場面、治療説明の場面を例にとり、
ロール・プレーを供覧後、患者さん、一般の方がわからない内容について
ディスカッションがありました。
いくつ興味深いやりとりがあったのですが(別の話題はまた後日)、
臨床試験に参加する意義は何なのか?が
またもや質問に挙がったのです。
以前にキャンサー・ベネフィッツのサポートメンバーである、
清水公一さんとも議論しました。
(その時の清水さんのブログが消えてしまっており、残念ですが。。。)
誤解を招くことを覚悟に有り体に申せば、
残念ながら、臨床試験の成果は参加された患者さんの直接の利益にはならず、
同じような疾患の次世代の患者さんの利益になる可能性がある、
将来の患者さんの選択肢を広げる、
そのような意味で社会貢献になるということだけです。
しかしながら、
週末のイベントでも、
新たな治療法を試す機会を得る
治療の選択肢が増える
なども患者さんにとっては重要なメリットだというお話がありました。
以前の清水さんとの議論で、小生が抜けていた視点でもあります。
また、臨床試験のなかでも、
新しく開発された治療法(候補)と標準治療との比較が
ランダム化(無作為化)試験というデザインで行われます。
(ランダム化については、また別の機会に。)
標準治療とは、過去の臨床試験の結果、
現在利用できる最良の治療であることが示され、推奨される治療をいいます。
これまでのチャンピオンの標準治療と、新治療(候補)との最終決着戦です。
標準治療群と新治療群にランダムに分けられますが、標準治療になったからといって、
「はずれ」ではありません。これまでのチャンピオン治療なのですから。
新治療が負けることもよくある。
おおざっぱに言うと、新チャンピオンが生まれる可能性は、36%です。
やはり標準治療は強い。
https://www.facebook.com/nkatsuma/posts/3418364794911091
ということで、また別の意味で患者さんが試験に参加する意義があります。
先日の議論以来、臨床試験に参加する意義について、より考えるようになりました。
臨床試験は、患者さんはむろん、医療者も様々な職種が関与します。
それぞれにとって、参加する意義は異なる、、、
もちろん最終ゴールはみな一緒でしょうが、
まだまだ考える必要がありそうです。