キャンサー・ベネフィッツの鳥井です。
今回のブログでは国立がん研究センターがん対策情報センターが患者さんの診療体験、療養生活の実態を把握するため実施した調査を紹介します。
その調査結果とキャンサー・ベネフィッツの活動を照らし合わせて見ていこうと思います。
この調査は、第3期がん対策推進基本計画の全体目標のうち、「患者本位のがん医療の実現」「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」について測るために設問が設定されています。
調査グループはA:希少がん患者 B:若年がん患者 C:一般がん患者に分けて分析。
まずキャンサー・ベネフィッツのビジョンは以下です。
小児がん、AYA世代のがん、治療法開発のための臨床試験などに光をあて、さまざまなステークホルダーと連携しこれらの課題を啓発します。
調査のうち、ビジョンと関連している設問をピックアップしました。
一つ目は啓発について。そもそも啓発の目的の一つは誤解や偏見の解消です。そこでがんによる偏見があったかの設問です。
今回の調査では、全体で5.3%の人が偏見を感じたとのことです。若いがん体験者に限ると、15.4%と3倍近い数字になります。とはいえ感覚的にはもっと高いのではないかと思っていたので、「15.4%」の数字は意外でした。と同時に少ないことは嬉しい。
誤解や偏見が多いと思った要因は「利用可能性ヒューリスティング」が関係していると思います。
利用可能性ヒューリスティックとは、「取り出しやすい」記憶情報を、優先的に頼って判断してしまうこと。例えば一時期全国で起きた高齢者によるの交通事故が度々報道されていました。報道ばかり見ていると交通事故が増えているように思えますが、数字で見ると減っています。これがまさに、取り出しやすい記憶に頼って判断した例です。
「がんによって、周りから〇〇と言われた」
こんな意見が体験者から発せされると、社会においてがんはかなり偏見があるのだと思ってしまいます。だから感覚と実数値に差があったのだと思います。
二つ目は臨床試験の認知度の調査です。
どの世代も差はなく、そこまで認知度は多くはありません。臨床試験については引き続き啓発が必要だと思いました。というのも、初回治療でないと参加できない臨床試験も数多くあります。よって臨床試験を正しく理解した時には、参加できないといった患者さんがいます。「オンコロ」で仕事をする中で、実際にこうした患者さんが多くいらっしゃいました。
よって多くの方に知ってもらう活動が必要だと、調査を見て改めて感じました。今回の調査を参考にキャンサー・ベネフィッツの活動をしていきます。